★躰道の説明
躰道は『タイドウ』と読みます。
躰道は空手の母体である「手(ティー)」を基に、玄制流空手を経て、
玄制流空手の創始者でもある故・祝嶺正献最高師範が1965年に創始した新しい武道です。
祝嶺正献最高師範は、体格に左右されない武道として躰道を創始されました。
「躰道とは、体軸の変化によって攻防を展開する創造進化の武道である」
これが躰道の定義になります。
躰道は、体軸の変化によって相手の攻撃をかわすことを旨とし、旋・運・変・捻・転の5つの術技と、
運足という独特の足の操法を駆使して、四方八方に動き回るアクロバティックな武道です。
格闘技を見慣れた方には一見無駄な動きに思われますが、躰道は格闘技と違い力勝負を嫌います。
力勝負、つまり相手との接触が多いと体重・体格によって優劣が決します。
しかし武道の根本原理は『小よく大を制す』なので、
その武道理念に基づいた競技体制を創り上げた、という事になります。
この術技体制のために、躰技は俗に言う大技ばかりですが、
相手の攻撃をかわすためには大きな動きが必要なので、
その中で攻防をするために術技も自ずと大技が多くなっています。
しかし、どのような態勢でも攻撃できることは、他の武道にはあまりみられないもので、
躰道の技術態勢の優れた一面であると言えます。
★名前の解説
「躰道」という名前を分解すると
「躰」は「体」の俗字であり、さらに「身」と「体」の2字に分けられます。
「身」は「まこと・まごころ・こころ」を表す心の状態で、意志的・内面的・精神的な意味を持っています。
「体」は身体そのものを表し、形・勢・態・姿として形や動作をともなう内容で、
行動的・外面的・肉体的な意味を持っています。
「道」という文字には、人の行うべき道・倫理の常道といった人間性を表す意味があります。
また、躰道を極めるにあたって、その過程で養われる創造性や協調性など、社会的な意味も含んでいます。
つまり「躰」という字は、
・身−意志的な精神活動 | →⇒ 主体的人間 |
・体−行動的な肉体活動 |
「道」という字は
・人の行うべき道=倫理的な目標 | →⇒ 公道(ヒューマニズム) |
・奥義に至る道=創造的な目標 |
を表していることになります。