ここでは、運足(ウンソク)についての説明を載せています。
運足とは、躰道で用いられる足の操法です。
ボクシングなどの“ステップワーク”と同じ様なものになります。
ここに書いてあることは、躰道初心者・初級者の方向けに作ってありますので、
躰道未経験者にはさっぱり分からないかも知れませんが、お許し下さい。
▲運足の解説
運足は、相手の正面ではなく横に横に(理想的には後ろに)回り込むために用います。
横に回り込むことによって、相手の力を受け流し、逆利用できるからです。
その理念を大切にして、躰道の実戦中では互いに円運動を基本として、
低重心で上下動を無くし、相手との間合い・角度の操作、更には技への加速のために運足を使います。
更に、技を運足から繋げて行うことによって、技は基本にとらわれず千変万化していきます。
つまり、躰道では運足によって『真(新)技創作』をすることができるようになります。
この運足と言うものは、歩行を基にして創られています。
その歩法(歩き方)は、一般的な歩き方ではなく、“ナンバ歩き”と呼ばれる日
本独自の歩法になります。
一般的な歩法(欧米の歩法)では、踵から着き、つま先で地面を蹴って、腕を振って体を捻りながら進みますが、
“ナンバ歩き”では、足全体(踵を着いた状態)で地面を押していき、腕や肩を前後に振らないように進みます。
また“ナンバ歩き”は、上下動を極力無くすように歩くので、無駄なく前に進むことができます。
この二つの歩法の違いを見てみると、欧米の歩法を『筋力を使っての歩法』と言うならば、
“ナンバ歩き”は『重力を使っての歩法』と言うことができます。
このように“ナンバ歩き”に代表される“ナンバの動き”は重力を利用するために、
〔自身の力+重力〕で動くことができ、力をより有効に利用できる特徴があります。
この“ナンバの動き”は、古武術での動きの基本ともなっており、最近はスポーツ界でも脚光を浴びています。
例えば、陸上の末続慎吾選手や野球の桑田真澄投手がトレーニングに取り入れて話題になりました。
躰道の運足も、この“ナンバの動き”を基に創られているので、様々なスポーツへの活用もできます。
また、運足は、低い重心を維持して、大きく・素早く・滑らかに動くことが大切なので、
股関節周り・下肢の筋力やバランス感覚が大いに養われます。
これらの“下半身の強さ”は、他のスポーツでも重要な部分になっていますし、
普段の生活でも、転びにくくなったり、歩くのが速くなったり、疲れにくくなったりすることに繋がります。
▲運足の基本
運足は、送・引・加・減・交・点・追・退の八つからなる基本の運足方法があり、
この基本運足や、それをまとめた鍛錬方法を運足八法と言い
ます。
また、この運足八法の発展型として運足五連動というものも
あります。
これは、運足八法を基に、より実戦的な運足として、約束攻防などで使われています。
実戦で使われている運足は、運足五連動を更に実戦的に、自在に動けるようにしたもので、
上記の基本運足をしっかりと身に付けて初めて可能な動きになります。